クジラの刺身 |
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クジラの刺身 |
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2007年10月28日に、両国駅の近くにある「江戸東京博物館」に、 チャコさんと二人で出かけてきた。 5、6階の常設展示室を見て回ったのだが、「江戸ゾーン」をたっぷり見てしまい、 「東京ゾーン」は、駆け足になってしまった。 大体、着いたのが、閉館(17:30)の1時間半くらい前の4時近かった からな。 1日ゆっくり見て回ったら、かなりいい勉強になりそうなところである。 見終わった後、両国国技館前の「花の舞」(03-5619-4488)で、食事。 クジラの刺身を注文した。 |
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私が高校生の頃のことで忘れられない食べ物に、 クジラがある。 これは、当然、魚屋で売っていた。 レンガを小さくしたみたいな、直方体の形のクジラ の肉がガチンガチンに凍った状態で売られていた。 クジラの刺身である。 これを買ってきて、かるく解凍したあと、うすく切って 食べていた。 値段は覚えていないが、そんなに高くはなかった ので、しょっちゅう、晩ごはんのおかずになっていた。 1968年(昭和43年)頃のことだ。 *ただし、函館の母に電話でこの話をしたら、 「それは、父さんが、おみやげにもらってきたもので ないかい。」 との返答。 私の中に、どこか、記憶違いがあるかも知れない。 |
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フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「捕鯨問題」の項に、 次のような記述がある。 「太平洋戦争が始まると、捕鯨は一旦中止されるが、日本の敗戦により 戦争が終結すると、進駐してきた米軍主体のGHQ(連合国軍総司令部)は、 国民総栄養失調状態の日本の食糧事情を改善するため、大量かつ容易に 確保が可能な蛋白源としてクジラを挙げ、捕鯨を推進した。そのため、 南氷洋での本格的な捕鯨が復活し、これは昭和中期まで続いた。」 敗戦後の「国民総栄養失調状態の日本の食糧事情」を改善するために、 「大量かつ容易に確保が可能な蛋白源」としてクジラが挙げられ、捕鯨が復活 していく。 GHQによって捕鯨復活が推進されたという事情は、知らなかった。 |
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いずれにしても、これによって、敗戦後の日本人にとって、鯨は、大切な蛋白源と なっていくわけだ。 |
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ただ、私がクジラの刺身を食べていた1968年頃は、乱獲による「資源枯渇」が問題となり 始めていた時期のようで、セミクジラ、コククジラ、ザトウクジラ、シロナガスクジラなどの 大型鯨類は、禁漁となっている。 それでも、商業捕鯨は、まだ活発に実施されている時期であり、鯨肉の流通も普通に 行われていた時期だったようである。 |
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雲行きがおかしくなり、この後、1970年代になって捕鯨反対論が台頭してくる。 1982年に国際捕鯨委員会(IWC)会議で商業捕鯨モラトリアム(商業捕獲を一時停止)が 採択されてしまう。 日本は異議申立てをして抵抗を続けるが、結局1985年、モラトリアムへの異議申立てを撤回。 このあと日本は、大型鯨類の「商業捕鯨」から撤退をしていくことになる。 |
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それにしても、「捕鯨」に関して調べていくと、いろいろな事が分かってくると同時に、 どんどん疑問が増えていく。 そもそも、鯨について、私は、何も知っていなかった。 |
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鯨の種類 「大型鯨類」と「小型鯨類」というのがある。 鯨の種類は、全世界で約84種なんだそうだ。 こんなに種類が多いなんてね。 (1)このうち、IWCの管理の対象、つまり現在、モラトリアムの対象になっている鯨は、 次の13種の大型鯨類とのこと。 大型って、どのくらいなのか調べてみた。 @シロナガスクジラ(体長は25m以上になり、体重100トン〜150トン) Aナガスクジラ(体長は20m、体重45〜74トン) Bホッキョククジラ(体長は15m前後、体重は50〜100トン) Cセミクジラ(体長は15m前後、体重は40〜80トン) Dイワシクジラ(体長は15m前後、体重は15〜25トン) Eマッコウクジラ(体長は15〜20m前後、体重は40〜50トン) Fザトウクジラ(体長は15m前後、体長は25〜35トン) Gコククジラ(体長は15m前後、体重は14〜35トン) Hニタリクジラ(体長は15m前後、体重は25トン前後) Iミンククジラ(体長は10m前後、体重は5〜8トン) その他、Jコセミクジラ、Kミナミトックリクジタ、Lキタトックリクジラと 13種あるらしい。 |
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(2)小型捕鯨地域で、捕獲している「小型鯨類」 ・ツチクジラ(体長は9〜10m、体重9〜10トン) ・ゴンドウクジラ(マゴンドウ)(体長は4〜5m、体重は2〜3トン) ・ハナゴンドウ(体長は2〜3m、体重は1〜2トン) (『ハクダイ食品有限会社』 の 「クジラの種類」より) |
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商業捕鯨モラトリアム(商業捕獲を一時停止)によって、 モラトリアムの対象である上の13種の大型鯨類は、捕ることが できなくなってしまった。 |
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問題は、この13種の中の「ミンククジラ」なのだという。 北海道の網走、宮城県の鮎川、千葉県の和田、和歌山県の太地などの小型捕鯨地域は、 それまで捕獲していた「ミンククジラ」を捕ることができなくなり、大打撃を受けることになる。 現在、小型捕鯨に携わっている人々は、「IWCの管轄外」(こんな言葉があることも、 今回、初めて知った)の「小型鯨類」(ツチクジラ、ゴンドウクジラ、ハナゴンドウクジラなど)の 捕獲を、日本政府の管理のもとで(資源保護のため、年間捕獲枠に厳しい制限がついている!) 細々と行ないながら、モラトリアムの修正を待ち続けているのだという。 |
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「日本は、商業捕鯨モラトリアムによって困窮している伝統的捕鯨地域社会を救済するために、 モラトリアム導入以来、毎年IWCへミンククジラ捕獲枠を要求してきました。しかし、理不尽な 反捕鯨勢力によって阻止され続けています。1991年のIWC科学委員会では、日本の太平洋 沿岸に回遊するミンククジラの資源量は、2万5千頭と推定され、健全な資源であることが合意 されています。ミンククジラの捕獲再開は小型捕鯨地域の悲願です。」 (「日本捕鯨協会」-捕鯨問題Q&Aより) |
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日本捕鯨協会のホームページでは、上のように書かれていた。 長い歴史を持つ沿岸小型捕鯨の町を活性化させたいと考えることは、当然の願いだろうなあ。 ・ミンククジラの生息数に則った捕獲枠の確保 ・ミンククジラの捕鯨再開 が小型捕鯨地域の「悲願」なのだという。 しかし、ダメのようだ。 かつてクジラを食べていた者としては、何とかならないものかなあと思うのだが。 |
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「調査捕鯨」をどうとらえるか、だろうなあ。 鯨類に関する科学的な情報をしっかり揃えていくことは、大事なことだと思う。 海の「資源」が世界的に不足などという時代が、今後来ないとも限らない。 そんな時にも、しっかりと役に立つような科学的な資料を作る、それが、 「調査捕鯨」ということだったら、続けてしかるべきだと思うのだが。 この問題、今後どのようになっていくのだろうか。 |
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